理香庵駄文録

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蘇った名機 - SR-T101レストア記(4)

さて、ここからは組立です。

糸を全部はずしてしまったので、元に戻せるかどうかものすごく不安。リペアマニュアルの記載もいまいちよくわからないし…。

糸は全部で3系統あります。

SRT101-45.jpg1番目はファインダー内のシャッター速度表示指標を動かす糸(写真)。糸の途中に指標が取り付けられています。長さの実測値は写真の通りです。

SRT101-46.jpgシャッターダイアル側のスタート位置はここ。写真のようにひっかけて、下から出します。糸の色がオリジナルの黒だと写真ではわかりにくくなるので、緑の糸(後述のPEライン)を使って写真を撮りました。本番作業はオリジナルの糸で行います。

SRT101-63.jpg縦位置の小プーリー①(写真では糸はずれ防止の板金部品の陰になって見えない)で向きを下に変え、接眼部両側の小プーリー(②2か所)を経て、接眼左側小プーリーすぐ左上のドラム③に巻き付けてドラムのスリット④に玉結びをひっかけて固定します。この時ドラムをあらかじめ右回りに3~4回ほど回しておきます(糸にテンションを与えるため)。

SRT101-03.jpg2本目はレンズの絞り値をボディ側に伝達する機構用。ボディ側のプーリーを介してレンズマウント部内側にあるリングに一端が取り付けられています。

このプーリーから糸が外れてしまうと、ボディ側から糸をプーリーにかけなおすことはほぼ不可能で、レンズマウントをバラしてこの写真の状態に戻さなければなりません。レンズマウント部分を組立て、糸をプーリーに正しくかけてボディ側に通した後は、糸がプーリーから外れないようにセロテープでボディのどこかに張り付けておきましょう。

SRT101-44.jpgレンズマウント側で糸を取り付けるリングです。糸の端が玉結び。じつに素朴です。

SRT101-62.jpgレンズマウント部からボディ側に引き出した糸は2か所のプーリー(写真矢印)を介してまず巻き戻し軸の大プーリー(2段ある下側)に巻きつけます。

SRT101-48.jpg次に大プーリーの切れ目を通って上側大プーリーとの間にある縦位置小プーリー(写真参照)を経て上側大プーリーに巻き付けるのですが、あらかじめ縦位置小プーリーを巻き戻し軸まわりに右に2~3回まわして内部のゼンマイを巻いておきます。手を放すと元に戻ってしまい、糸をかけるなどという芸当ができないので、私は写真のように仮止めしておきました。糸を縦位置小プーリーにかけて上側大プーリーに巻き付けて玉結びをひっかけて固定すれば完了です(二つ先の写真参照)。

ところで、前の写真とこの写真の糸は緑色をしています。オリジナルは黒なのですが、試行錯誤を何度も何度も繰り返しているうちに、糸がだめになってしまいました。予備のボディから外した糸もヨレていてだめ。ということで、糸さがし。

太さが同じで、丈夫で、かつ伸びない糸。あるかなそんな糸。ホームセンタを隅から隅まで歩いてみたけど使えそうな糸はなし。裁縫用品のお店で聞いてみたけれど『カメラの内部で使われて…』と切り出した時点でまともに相手をしてもらえず…。

ネットであれこれ調べていたら、釣り糸にPEラインというのがあるらしい。説明には『高密度ボリエチレンのより糸で、引っ張り強度が強く、伸びがほとんど無い・・・』とある。釣り用としては、伸びがないほうがアタリがよく伝わるんだそうです。これは使えそうだ。早速近所の釣り道具屋へ。PEライン、PEライン・・・あった!でも値段をみてびっくり。何千円もする。まぁ長さも百メートル単位だけれど。せいぜい1mもあれば足りるんだけどなぁ。もっと短いのはないのかなと探したらありました。13m巻き。でもこれでも1200円もします。カメラそのものよりも修理用の部材のほうがよっぽど高価!

SRT101-47.jpg3本目はISO感度と露出計を連動する機構の糸。スタート位置はここ。このように糸をスリットに挟んだ後、玉結びが止まるところまで下方向に引っ張ります。スリットのある金属リング同軸直下のプーリーにスリットを通した糸を巻き付け、小プーリー2つを介して、巻き戻し軸上側大プーリーに巻き付けて固定します。

SRT101-24.jpg悪戦苦闘の結果、なんとか元通り(たぶん)に糸を張り直すことができました。

SRT101-23.jpg反対側から見たところです。シャッターダイアル、巻き上げレバーとシャッターを仮組みして動きを確かめて完了です。

この後、最終組み立てをしようとしたところで、巻き戻し軸が入らない(前述)ことに気が付き愕然!泣く泣く糸を全部はずし、巻き戻し軸アセンブリを全分解して巻き戻し軸を元に戻したのでした。

SRT101-27.jpg完成した血と汗と涙の結晶です。

続く(次はレンズ)